ヘバーデン結節に対するPRP治療
ヘバーデン結節は中高年の女性に多く発生する原因不明の遠位指節間関節(指の一番先の関節)に発生する関節の変形する病気です。特に誘因なく痛みやしびれを伴った変形がすべての指に広がる病気です。原因は分かっていません。変形は徐々に進行し指先が横を向いたり、動きが悪くなったります。しかし、変形がある程度完成すると症状は軽減することが多いと言われています。そのため整形外科では痛みに対して鎮痛剤が処方されたりシップや外用薬、テーピングの指導が行われています。治療方法や予防法がなく変形が落ち着くのを待つのが一般的です。【外来では年だからしょうがないね】、なんて言われて終わることもしばしばあるはずです。正確には年齢で発症するわけではなく、また男性にも発症することがあり、原因はまさに今のところ不明と言わざるを得ない病気です。
最近は、ヘバーデン結節が更年期に発症することに注目し更年期障害の治療をおこなう施設があります。特に大豆性イソフラボンの効果についての報告が注目を集めています。効果を実感している方もいますが残念ながら効果が見られない方もいるようです。
日本整形外科学会などの専門学会の治療指針を見ても症状を緩和するためには安静や投薬、手術などはありますが根本的な変形の予防について言及されている報告はありません。命にかかわる病態や日常生活に大きな障害をおこす病気ではないため、また時期が来れば病状の進行は止まることが多いためにある意味詳しい研究がされていないのが実情と考察します。
指の美しさを表す言葉としてよく白魚のような指と言われますが、女性の指の変形は痛み、しびれだけではなく、整容的にも心にダメージを与えるものです。当院ではこれまで外用薬、テーピングの治療と大豆性イソフラボン内服の推奨、また更年期障害の一部として漢方薬やプラセンタ注射を行ってきました。これらの治療に効果のない方には新しい関節治療の一環としてPRP療法(多血小板血漿療法)を開始しています。これは血液内の組織再生能力をもった増殖因子を抽出し関節内に戻すことにより組織の再生を促す治療方法です。主に膝関節などに行われますがヘバーデン結節の治療にも大きな効果が期待できる方法と言えます。岩見沢ごうだ整形外科ではすでに20例を超える患者様にPRP治療を行っています。残念ながら変形した関節をもとの形に戻すことはできませんが、痛みには効果があり、粘液嚢腫も消退しています。当院では1か月ごとに3回のPRP-FD治療を変形した指だけではなく、すべてのDIP関節に注入し今後起こる変形の予防にも期待して治療を行っています。健康保険の使えない自費診療のため一連の治療で15万円+消費税(計16万5千円の費用と採取した血液の加工のため3週間の時間が必要です。
指の変形でお困りの方は一度ご相談ください。 合田猛俊