D-006 ウゴービとゼップバウンドの違いは?効果・副作用・費用・選び方を医師が比較

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹
「ウゴービとゼップバウンドなら、どちらが痩せますか?」「副作用が少ない方を選びたい」「初めてメディカルダイエットをするなら、どちらがいい?」「体重が100kgを超えている場合は、ゼップバウンドの方がいい?」——肥満症の薬物療法では、この2剤がよく比較されます。
どちらも日本で肥満症について承認された治療薬ですが、有効成分も作用の仕組みも異なります。ごうだ整形外科では「一番体重が減る薬を選べばよい」とは考えず、体格、体脂肪量、筋肉量、健康障害、膝・腰の状態、副作用への不安、必要な減量幅などを考えて選択します。
結論|「どちらが強いか」ではなく「どちらが自分に合うか」
ごうだ整形外科では、ウゴービが優れている、ゼップバウンドが優れている、と一律には考えていません。患者さんによって選択が変わります。
初めて薬物療法による体重管理を行う方では、ウゴービの低用量から開始することを一つの選択肢としています。実際の診療では、特に女性ではウゴービから治療を開始することが比較的多くあります。
一方、100kgを大きく超えるような体格の大きな方など、より大きな体重減少が治療上必要と考えられる場合には、ゼップバウンドの最低用量から開始することもあります。
ただし「女性=ウゴービ」「100kg以上=ゼップバウンド」というルールではありません。最終的には一人ひとりの身体の状態を見て判断します。
ウゴービとゼップバウンドの違いを比較
成分そのものが異なるため、ウゴービ0.25mgとゼップバウンド2.5mgの数字を横並びにして薬の強さを比較することはできません。
最大の違いは「作用の仕組み」
ウゴービの有効成分セマグルチドはGLP-1受容体に作用します。一方、ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドはGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用します。
この作用の違いが体重減少効果などの違いにつながると考えられています。ただし「2つに作用するから必ずゼップバウンドの方が良い」という意味ではありません。
実際、どちらの方が体重は減る?
2025年に報告されたSURMOUNT-5試験では、2型糖尿病のない肥満成人を対象にチルゼパチドとセマグルチドを72週間比較し、平均体重変化率はチルゼパチド−20.2%、セマグルチド−13.7%でした。
ただし「ゼップバウンドはウゴービの約1.5倍痩せる」と単純に説明することはできません。この試験は患者さんが耐えられる最大用量まで調整して比較したもので、開始用量同士の比較ではありません。また実際の体重減少には個人差があります。
「よく痩せる薬=良い薬」とは限りません
例えば短期間で5kg体重が減っても、その内訳が「脂肪−5kg・筋肉±0kg」なのか、「脂肪−2kg・筋肉−3kg」なのかでは意味が違います。
ごうだ整形外科では「何kg減ったか」だけではなく「何が減ったか」を重視します。院内では必要に応じてInBodyを使用し、筋肉量、体脂肪量、体水分量などを確認します。筋肉量をできるだけ守りながら脂肪を減らすことを目指します。
初めて治療する方では、ウゴービから始めることがあります
当院では、初めて薬物療法による体重管理を行う方について、ウゴービの低用量から開始することを一つの選択肢としています。実際の診療では、特に女性ではウゴービから開始することが比較的多くあります。
当院ではウゴービ0.25mgという開始用量でも体重が減る患者さんを経験しています。合田医師自身もウゴービ0.25mgを使用し、最初の1か月で約3kg体重が減少しました。一方、強い吐き気などは本人の経験ではほとんどありませんでした。
ただし、これは一人の医師自身の経験です。「女性にはウゴービの方が安全」「0.25mgなら副作用が出ない」という意味ではありません。
体格の大きな方では、ゼップバウンドを選択することもあります
一方、100kgを大きく超えるような体格の大きな方では、ゼップバウンドの最低用量から治療を開始することがあります。こうした患者さんには、男性で筋肉量が多く、体格そのものが大きい方もいます。
そのため、例えば120kgの方に最初から「30kg減らして90kgにしましょう」と大きな目標を設定するとは限りません。「まず100kgを切ってみましょう」というように、達成可能な最初の目標を設定することがあります。
大きな目標より「最初に達成できる目標」をつくる
120kgから90kgを目指すとなれば30kgの減量です。最終目標だけを見ると遠く感じることがあります。そこで120kg→まず110kg台へ→次に100kgを切る、というように途中に目標をつくることがあります。
「少し身体が軽くなった」「前より動ける」「少し運動してみよう」という変化を患者さん自身が感じることが重要です。
120kgから100kgになれば、膝や腰は治る?
必ずしもそうではありません。体重減少によって膝や腰への負担軽減は期待できますが、変形性膝関節症や脊椎疾患など、すでに痛みの原因となる病変があれば、その治療も必要です。
当院では、体重を減らす+膝・腰を治療する+運動できる状態をつくる、ことを並行して考えます。
少し動けるようになると「相乗効果」が生まれる
体重が少し減る → 身体が少し動かしやすくなる → 運動できるようになる → 筋肉を使えるようになる → 活動量が増える → さらに体重を管理しやすくなる。この相乗効果を作ることが重要です。
D-003で説明した「薬物療法は動き始めるための入口になることがある」という考え方にもつながります。
100kgを超えていても「体重だけ」でゼップバウンドを選ばない
同じ120kgでも、筋肉量が非常に多い120kgと、筋肉量が少なく体脂肪量が非常に多い120kgでは身体の状態が違います。そのため「100kg以上ならゼップバウンド」という機械的な選択はしません。
体重
BMI
体脂肪量
筋肉量
肥満に関連する健康障害
膝や腰の状態
現在どのくらい動けるか
どの程度の減量が必要か
副作用への不安
患者さん自身の希望
「何kgあるか」だけではなく「その体重の中身を見る」。これはDシリーズ全体を通して、ごうだ整形外科が大切にしている考え方です。
副作用はどちらが少ない?
ウゴービでもゼップバウンドでも、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹部症状などの消化器症状がみられることがあります。副作用の種類や頻度は薬剤、用量、患者さんの状態などによって異なります。
当院では先生自身の使用経験や実際の患者さんの診療経験から、初めて治療を受ける方でウゴービ低用量を選択することがあります。しかし「ウゴービは副作用が少ない薬」「ゼップバウンドは副作用が多い薬」と単純に分類することはしません。
費用はどのくらい違う?
どちらも診療料込み、送料1回1,700円、単月利用、継続縛りなしです。開始時の価格差は1,000円ですが、「1,000円安いからウゴービ」という選び方をするための料金表ではありません。
治療が進んで用量が変われば料金も変わります。開始価格だけでなく、治療効果、増量時の費用、副作用、治療期間まで含めて考えることが重要です。
まず確認|どちらも「痩せたい人なら誰でも使える薬」ではありません
ウゴービとゼップバウンドはいずれも日本で肥満症について承認されていますが、希望する方すべてに使用する薬ではありません。承認された効能・効果や最適使用推進ガイドラインを踏まえ、肥満症として薬物療法が必要かを医師が判断します。
ウゴービの肥満症に関する最適使用推進ガイドラインは2026年6月に改訂され、ゼップバウンドの肥満症ガイドラインは2026年5月に改訂されています。
ウゴービとゼップバウンドの全用量・当院料金
いずれも診療料込み、送料1回1,700円、単月利用、継続縛りなしです。ウゴービとゼップバウンドは異なる成分なので、同じ行のmg数や価格を「同じ強さ」として比較する表ではありません。
開始価格だけでなく、治療が進んだときの費用を見る
開始価格はウゴービ14,800円、ゼップバウンド15,800円で差は1,000円です。しかし、用量が上がれば費用差は大きくなることがあります。
だからこそ当院では、開始価格だけで薬を選ぶのではなく、必要な治療効果、用量、副作用、治療期間まで含めた総治療費を考えることが重要だと考えています。
増量方法にも違いがあります
ウゴービは通常0.25mgを週1回から開始し、段階的に0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgへ増量する治療設計です。ゼップバウンドは通常2.5mgを週1回から開始し、4週間ごとに2.5mgずつ増量し、肥満症では10mgを基本用量として、患者さんの状態に応じて5mgへの減量または15mgまでの増量が可能です。
どちらも自己判断で用量や投与間隔を変更する薬ではありません。承認された用法・用量を踏まえ、医師が効果・副作用・健康状態を確認します。
ごうだ整形外科では「次の月だから増量」とは考えません
当院では、体重計の数字だけで治療を評価しません。運動を継続している患者さんでは、体脂肪量が減る一方で筋肉量が維持または増加し、体重が大きく変わらない場合があります。
このようなときに、単純に「体重が減っていないからもっと強く」と考えるのではなく、身体組成や副作用、運動状況を含めて評価します。実際の投与は各薬剤の承認用法を踏まえて医師が判断します。
副作用はどちらが少ない?
両剤とも、悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状がみられることがあります。また、急性膵炎、胆嚢・胆道系疾患、低血糖などにも注意が必要です。
合田医師自身はウゴービを使用した経験があり、0.25mg・0.5mgでは強く印象に残る副作用はありませんでした。一方、当院でゼップバウンドを使用している患者さんでは、現時点で副作用についてマンジャロと大きく異なる印象はありません。
ただし、これは当院での経験であり、「ウゴービの方が安全」「ゼップバウンドの方が副作用が多い」と証明するものではありません。副作用には個人差があります。
強い症状がある場合は我慢して続けない
食事がほとんど取れない
水分が十分に取れない
強い腹痛が続く
繰り返し嘔吐する
意識状態などに異常を感じる
このような場合は、そのまま使用を続けず医療機関へ相談・受診してください。緊急性が高い場合はオンライン相談だけで済ませず、近隣の救急医療機関等を受診する必要があります。
マンジャロとの関係を整理
ゼップバウンドとマンジャロは同じチルゼパチドですが、日本で承認されている効能・効果が異なります。肥満・減量目的でマンジャロを使用する場合は適応外使用です。
したがって、「同じ成分だからどちらでもよい」ではなく、何の治療として使用するのかを確認することが重要です。
患者さん別|当院での選択イメージ
これは当院の診療上の考え方を示したもので、性別や体重だけで薬剤を機械的に決める基準ではありません。
100kgを超える方ほど「最終目標」だけを見ない
体格の大きな患者さんでは、最初から標準体重だけを目標にすると遠すぎることがあります。例えば120kgを超える方では、まず100kgを切ることを一つの目標にする場合があります。
重要なのは、途中の変化を治療につなげることです。少し体重が減る → 少し動ける → 運動できる → 筋肉を使える → 活動量が増える、という相乗効果を作ることを目指します。
治療終了後のリバウンドまで考える
薬物療法で体重が減っても、治療終了後に食事量や活動量が元に戻れば体重が再び増える可能性があります。
そのため当院では、治療中から食事、運動、筋肉量を意識し、最終的には薬だけに依存せず体重を管理できる状態を目指します。治療期間は半年~1年程度を一つの目安としていますが個人差があります。
治療終了方法も一律ではありません。自己判断で用量や投与間隔を変更せず、医師と相談しながら終了を検討します。
よくある質問(FAQ)
Q1.ウゴービとゼップバウンド、結局どちらが痩せますか?
直接比較試験ではチルゼパチドの平均体重減少率がセマグルチドより大きかった報告があります。ただし、最大忍容量での比較であり、すべての患者さんで同じ差が出るわけではありません。
Q2.初めてならウゴービですか?
当院ではウゴービ低用量を一つの選択肢としていますが、全員に同じ薬を使用するわけではありません。
Q3.100kg以上ならゼップバウンドですか?
体重だけでは決めません。筋肉量、体脂肪量、健康障害、運動能力、必要な減量幅などを総合して判断します。
Q4.女性にはウゴービの方がよいですか?
当院では実臨床上、女性でウゴービから開始することが比較的多いですが、性別だけで薬剤を決める医学的ルールではありません。
Q5.副作用が少ないのはどちらですか?
どちらにも消化器症状などの副作用があります。個人差があるため、単純に一方が安全とは言えません。
Q6.価格が安いのはどちらですか?
当院の開始価格はウゴービ14,800円、ゼップバウンド15,800円ですが、用量が変わると料金も変わります。総治療費で考えることが重要です。
Q7.マンジャロとゼップバウンドは同じですか?
有効成分はいずれもチルゼパチドですが、国内で承認されている効能・効果が異なります。
Q8.薬だけで痩せれば運動は不要ですか?
当院では薬だけで体重を減らすことをゴールにはしていません。筋肉量を守り、身体を動かせる状態を目指します。
Q9.ずっと薬を続ける必要がありますか?
当院では半年~1年程度を一つの目安としていますが、治療期間には個人差があります。
オンラインでメディカルダイエットを相談したい方へ
自由診療による体重管理について【限定解除情報】
ごうだ整形外科では、患者さんの状態・治療目的・適応を確認したうえで、自由診療による体重管理を行う場合があります。自由診療は公的医療保険の対象外です。
治療内容
医師が問診・診察を行い、体重、BMI、既往歴、服薬状況、健康状態、治療目標などを確認します。食事・運動療法を基本として、医学的に適切と判断した場合に薬物療法を組み合わせます。使用薬剤、用量、治療継続・変更・終了は患者さんごとに医師が判断します。
治療期間・回数の目安
治療期間には個人差があります。当院では半年~1年程度を一つの目安とし、原則として4週間ごとに体重、治療効果、副作用、運動状況などを確認しながら治療方針を見直します。
費用
ウゴービ:0.25mg 14,800円、0.5mg 19,800円、1.0mg 29,800円、1.7mg 39,800円、2.4mg 49,800円(各4週間分)。ゼップバウンド:2.5mg 15,800円、5mg 29,800円、7.5mg 39,800円、10mg 49,800円、12.5mg 59,800円、15mg 69,800円(各4週間分)。診療料込み、送料1回1,700円、単月利用、継続縛りなしです。
主なリスク・副作用
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状がみられることがあります。また、急性膵炎、胆嚢・胆道系疾患、低血糖など、注意が必要な副作用があります。薬剤によって注意事項は異なります。
国内承認について
ウゴービおよびゼップバウンドは、日本国内で一定条件の肥満症に対して承認された医薬品です。ゼップバウンドは一定条件の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群についても承認されています。希望する方すべてが使用できるわけではありません。
マンジャロについて
マンジャロは日本国内では2型糖尿病について承認されたチルゼパチド製剤です。肥満・減量目的で使用する場合は適応外使用となります。
入手経路
当院は国内製薬会社、、卸会社から入手します。
医薬品副作用被害救済制度について
国内承認医薬品であっても、承認された効能・効果や用法・用量と異なる適応外使用を行った場合、医薬品副作用被害救済制度の救済給付の対象とならない可能性があります。
お問い合わせ
治療内容、費用、使用薬剤、副作用等について不明な点がある場合は、ごうだ整形外科へお問い合わせください。
まとめ|薬の強さではなく、患者さんに合う治療を選ぶ
ウゴービとゼップバウンドは、どちらも肥満症治療の重要な選択肢です。臨床試験上の平均体重減少率、開始価格、作用機序だけで優劣を決めるのではなく、患者さんの身体の状態と治療目標に合わせて選択することが重要です。
ごうだ整形外科では、体重計の数字だけではなく、体脂肪量、筋肉量、膝・腰の状態、運動能力まで見ながら、最終的に「動ける身体」と薬だけに依存しない体重管理を目指します。
参考資料
・PMDA「ウゴービ皮下注 添付文書」(2026年6月19日版)
・厚生労働省「セマグルチド製剤 最適使用推進ガイドライン(肥満症)」(2026年6月改訂)
・PMDA「ゼップバウンド皮下注 添付文書」(2026年5月19日版)
・厚生労働省「チルゼパチド製剤 最適使用推進ガイドライン(肥満症)」(2026年5月改訂)
監修者プロフィール
合田 猛俊
医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士 専門分野:疼痛治療・骨軟部腫瘍・手の外科
佐々木 拓郎
北7条ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター 専門分野:股関節・膝関節を中心とした下肢疾患
清藤 直樹
岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士 専門分野:人工関節・スポーツ整形・外傷



