D-005 ゼップバウンドとは?

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹
「ゼップバウンドとマンジャロは何が違うの?」「同じ成分なら、なぜ薬の名前が違うの?」「ウゴービとゼップバウンドでは、どちらを選べばいい?」「ゼップバウンドはどのくらい体重が減る?」——肥満症の薬物療法を調べていると、ゼップバウンドという薬を目にすることが増えてきました。
ゼップバウンドは、チルゼパチドを有効成分とする週1回投与の注射製剤です。ゼップバウンドとマンジャロは有効成分が同じですが、日本で承認されている治療目的が異なります。
マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは一定の条件を満たす肥満症などについて承認されています。ごうだ整形外科では、単純に「よく痩せる薬を選ぶ」のではなく、何の治療としてその薬を使用するのかを大切にしています。
結論|ゼップバウンドは「肥満症」について国内承認されたチルゼパチド製剤です
ゼップバウンドは、GIP/GLP-1受容体作動薬に分類されるチルゼパチド製剤です。国内には2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgの6規格があります。
日本では一定の条件を満たす肥満症について承認されています。また、一定条件を満たす中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群についても治療対象となる場合があります。
ただし、「肥満症治療薬として承認されている」=「体重を減らしたい人なら誰でも使える」という意味ではありません。肥満症として薬物療法が必要なのか、対象となる条件を満たしているのかを医師が判断する必要があります。
ゼップバウンドとマンジャロは何が違う?
つまり、「成分は同じ。でも日本で承認されている治療目的が違う」ということです。この違いは非常に重要です。
マンジャロが体重減少を目的として広く知られるようになったことで、「同じチルゼパチドなら、どちらを使っても同じでは?」と思う方もいるでしょう。しかし医療では、効果だけではなく、その薬が何の疾患に対して、どのような条件で承認されているかも重要です。
ごうだ整形外科では実際にゼップバウンドを使用しています
私は自分自身ではゼップバウンドを使用していません。一方、ごうだ整形外科では、実際にゼップバウンドを使用している患者さんがいます。
当院では最低用量から開始し、治療効果や副作用を確認しながら経過を見ています。現時点で私が診療している範囲では、体重の減り方や食欲の変化について、マンジャロを使用している患者さんと大きく異なる印象はありません。
ただし、これはあくまで当院での診療経験です。すべての患者さんで両剤の効果が同じであることを示すものではありません。
副作用もマンジャロと同じ?
当院でこれまでゼップバウンドを使用している患者さんを診療した印象では、副作用についても、マンジャロを使用している患者さんと比べて大きく異なる印象はありません。
しかし、「同じ成分だから副作用も必ず同じ」と考えることはできません。副作用の出方には個人差があります。また、実際の副作用頻度を比較する場合には、用量、患者背景、試験条件などを考慮する必要があります。
当院での診療経験と、医学研究・添付文書に記載された安全性情報は分けて考えることが重要です。
ゼップバウンドでは、なぜ体重が減る?
チルゼパチドは、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する薬剤です。食欲やエネルギー摂取などに影響し、食事療法・運動療法などと組み合わせることで体重減少効果が期待されます。
ただし、ごうだ整形外科では「食欲がなくなれば治療成功」とは考えていません。食事量が極端に減って、脂肪だけでなく筋肉まで大きく減るのであれば、理想的な体重管理とは言えないからです。
ゼップバウンドではどのくらい体重が減る?
チルゼパチドの代表的な肥満症臨床試験がSURMOUNT-1です。2型糖尿病のない肥満または過体重の成人2,539人を対象に、生活習慣への介入とともに72週間治療した試験では、平均体重変化率は5mgで−15.0%、10mgで−19.5%、15mgで−20.9%、プラセボで−3.1%でした。
非常に大きな体重減少が報告された研究ですが、この数字を「ゼップバウンドを使えば必ず20%痩せる」と解釈してはいけません。72週間という長期間の試験であり、用量も5mg・10mg・15mgで評価されています。開始用量2.5mgを使えば20%体重が減る、というデータではありません。実際の体重減少には大きな個人差があります。
ウゴービよりゼップバウンドの方が体重は減る?
2025年に発表されたSURMOUNT-5試験では、2型糖尿病のない肥満成人を対象に、チルゼパチドとセマグルチドを72週間直接比較しています。最大忍容量での平均体重減少率は、チルゼパチド20.2%、セマグルチド13.7%でした。
ただし、「ゼップバウンドならウゴービより必ず約1.5倍痩せる」という意味ではありません。この研究ではチルゼパチド10mgまたは15mgと、セマグルチド1.7mgまたは2.4mgという最大忍容量で比較されています。低用量で治療を開始した患者さん同士を比較した研究ではありません。
ごうだ整形外科では、こうした研究結果だけを見て「より体重が減るから最初からゼップバウンド」とは考えていません。
なぜ当院では、最初から強い体重減少を求めないのか
ごうだ整形外科では、初めて薬物療法による体重管理を行う方について、ウゴービの低用量から開始することを一つの選択肢としています。これは、強く効く薬=その患者さんにとって一番よい薬、とは限らないからです。
体重が急激に減っても、筋肉量まで大きく減っているのであれば、当院では必ずしも理想的な減量とは考えません。一方、体重の変化は小さくても、体脂肪量が減り、筋肉量が維持されているのであれば、良い変化と考えることがあります。
ゼップバウンドでも「何kg減ったか」だけを見ません
ゼップバウンドを使用する患者さんについても考え方は同じです。ごうだ整形外科では院内治療の場合、必要に応じてInBodyを使用して、筋肉量、体脂肪量、体水分量などを確認します。
例えば同じ5kgの体重減少でも、脂肪を中心に5kg減って筋肉を維持できた場合と、脂肪2kg+筋肉3kgが減った場合では意味が違います。
体重計の数字だけではなく「何が減ったのか」を見る。これはウゴービでもゼップバウンドでも変わらない、当院の基本的な体重管理方針です。
ゼップバウンドは最低用量から開始します
ごうだ整形外科で実際にゼップバウンドを使用する患者さんでは、最低用量から開始しています。最初から高用量を使用して強い体重減少を狙うのではなく、治療効果、副作用、食欲の変化、体重の変化、身体組成、運動状況を確認しながら治療します。
ゼップバウンドには2.5mgから15mgまで複数の規格がありますが、最高用量まで増量すること自体が治療目標ではありません。治療方法や用量は、承認された用法・用量を踏まえ、患者さんの状態を確認しながら医師が判断します。
ゼップバウンドの当院料金
診療料込み/送料:1回1,700円/単月利用/継続縛りなし
ただし、「2.5mgが15,800円だからゼップバウンドを選ぶ」という選び方はおすすめしていません。価格だけでなく、適応、効果、副作用、治療目的、運動状況、筋肉量、治療終了までの計画を含めて薬剤を選ぶことが重要です。
ゼップバウンドは「薬だけで痩せるため」の治療ではありません
膝や腰が痛くて運動できない患者さんでは、体重が重い → 膝・腰が痛い → 動けない → 筋力が落ちる → さらに体重が増える、という悪循環があります。
このような患者さんでは、薬物療法が「動き始めるための入口」になることがあります。まず少し体重を減らす。身体が少し軽くなる。「これなら動けそう」と感じる。低負荷の運動を始める。筋肉量をできるだけ維持する。そして最終的には歩ける身体を目指す。
ごうだ整形外科では、ゼップバウンドを使うことそのものではなく、その先にある身体の変化を治療の目的にしています。
ゼップバウンドは誰でも使える薬ではありません
ゼップバウンドは国内で肥満症について承認されていますが、美容・痩身だけを目的として誰にでも使用する薬ではありません。高血圧、脂質異常症または耐糖能障害のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、さらにBMI等の条件を満たす場合が対象です。
ゼップバウンドの用量はどのように増やす?
肥満症に対する承認用法では、通常2.5mgを週1回から開始し、4週間ごとに2.5mgずつ増量して10mgを週1回投与します。患者さんの状態に応じて5mgまで減量、または15mgまで増量できます。最高用量まで増量すること自体が治療目的ではありません。
どのような副作用に注意する?
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状がみられることがあります。また急性膵炎、胆嚢・胆道系疾患、低血糖などに注意が必要です。当院の診療経験では副作用の印象はマンジャロと大きく異なりませんが、両剤の副作用頻度が同一という意味ではありません。
マンジャロや他のGLP-1関連薬と一緒に使わない
ゼップバウンドはチルゼパチドを含むため、マンジャロなど他のチルゼパチド含有製剤や、他のGLP-1受容体作動薬とは併用しません。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群にも適応が追加されています
2026年5月、ゼップバウンドには一定条件の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対する効能・効果が追加されました。BMI 27kg/m²以上などの条件があり、適切な診断と医師による評価が必要です。
治療終了とリバウンドをどう考える?
当院では薬を長期間使い続けること自体を治療目的にはしていません。半年~1年程度を一つの目安としますが個人差があります。治療中から食生活、運動習慣、筋肉量の維持を重視し、最終的には薬だけに依存せず体重を管理できる状態を目指します。
ゼップバウンドを使用する主な条件
高血圧、脂質異常症または耐糖能障害のいずれかを有する
食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られていない
BMI 27kg/m²以上で2つ以上の肥満関連健康障害を有する、またはBMI 35kg/m²以上
ウゴービとゼップバウンド、どちらを選ぶ?
臨床試験ではチルゼパチドの方が平均体重減少率が大きかった報告がありますが、それだけでゼップバウンドを選ぶわけではありません。当院では初めて薬物療法による体重管理を行う方では、ウゴービの低用量から開始することを一つの選択肢としています。現在、当院ではウゴービからゼップバウンドへ変更した患者さんはまだいません。
ゼップバウンドの当院料金
診療料込み/送料1回1,700円/単月利用/継続縛りなし。
ごうだ整形外科がゼップバウンド治療で目指すもの
体脂肪量を減らす
筋肉量をできるだけ維持する
膝・腰の痛みを軽減し身体を動かしやすくする
無理のない運動習慣をつくる
日常生活の活動量を増やす
最終的に薬物療法だけに依存しない体重管理を目指す
よくある質問(FAQ)
Q1.ゼップバウンドとマンジャロは同じ薬ですか?
有効成分はいずれもチルゼパチドですが、日本で承認されている効能・効果が異なります。
Q2.誰でもダイエット目的で使えますか?
いいえ。承認された適応条件があり、医師が診断・評価します。
Q3.最初は何mgから始めますか?
肥満症では通常2.5mgを週1回から開始します。
Q4.必ず15mgまで増量しますか?
いいえ。患者さんの状態を踏まえて医師が判断します。
Q5.ウゴービより痩せますか?
平均体重減少率が大きかった比較試験はありますが、効果には個人差があります。
Q6.副作用はマンジャロと同じですか?
当院の診療経験では大きく異なる印象はありませんが、同一という意味ではありません。
Q7.睡眠時無呼吸にも使えますか?
一定条件の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群について国内承認されています。
Q8.料金はいくらですか?
当院では2.5mg・4週間分15,800円から。診療料込み、送料1,700円です。
Q9.治療はずっと続けますか?
半年~1年程度を一つの目安としますが個人差があります。
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自由診療による体重管理について【限定解除情報】
当院では患者さんの状態・治療目的・適応を確認したうえで自由診療による体重管理を行う場合があります。自由診療は公的医療保険の対象外です。
治療内容
医師が問診・診察を行い、体重、BMI、既往歴、服薬状況、健康状態、治療目標などを確認します。食事・運動療法を基本として、医学的に適切と判断した場合に薬物療法を組み合わせます。
治療期間・回数の目安
治療期間には個人差があります。当院では半年~1年程度を一つの目安とし、原則4週間ごとに治療効果、副作用、運動状況などを確認します。
費用
ゼップバウンド:2.5mg 15,800円、5mg 29,800円、7.5mg 39,800円、10mg 49,800円、12.5mg 59,800円、15mg 69,800円(各4週間分)。診療料込み、送料1回1,700円、単月利用、継続縛りなしです。
主なリスク・副作用
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状、急性膵炎、胆嚢・胆道系疾患、低血糖などに注意が必要です。
国内承認について
ゼップバウンドは日本国内で一定条件の肥満症、および一定条件の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群について承認されています。
入手経路
当院は国内製薬会社、卸会社から入手します。
医薬品副作用被害救済制度について
国内承認医薬品でも、適応外使用では医薬品副作用被害救済制度の救済給付の対象とならない可能性があります。
お問い合わせ
治療内容、費用、使用薬剤、副作用等について不明な点がある場合は、ごうだ整形外科へお問い合わせください。
まとめ
ゼップバウンドは大きな体重減少効果が報告されているチルゼパチド製剤ですが、誰でも使用する薬ではありません。当院では承認適応、安全性、体脂肪と筋肉、運動、治療終了後まで含めて体重管理を考えます。
参考資料
・PMDA「ゼップバウンド皮下注 添付文書」(2026年5月19日版)
・厚生労働省「チルゼパチド製剤 最適使用推進ガイドライン(肥満症)」
・厚生労働省「チルゼパチド製剤 最適使用推進ガイドライン(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)」
監修者プロフィール
合田 猛俊
医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士/専門分野:疼痛治療・骨軟部腫瘍・手の外科
佐々木 拓郎
北7条ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター/専門分野:股関節・膝関節を中心とした下肢疾患
清藤 直樹
岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/専門分野:人工関節・スポーツ整形・外傷



