L-004 腰部脊柱管狭窄症とは?

第2部 保存療法・神経ブロック・手術が必要になるケース

腰部脊柱管狭窄症の治療

腰部脊柱管狭窄症と診断されても、すぐに手術が必要になるわけではありません。

この病気は、多くの場合、長い年月をかけてゆっくり進行します。

そのため、ごうだ整形外科では患者さんの症状や日常生活への影響を丁寧に評価し、まずは保存療法を基本として治療を開始します。

表3 主な治療法

治療法

内容

主な目的

内服治療

消炎鎮痛薬・神経障害性疼痛治療薬など

痛みやしびれを軽減する

リハビリテーション

運動療法・姿勢指導・筋力維持

歩行能力や生活機能の改善

神経ブロック治療

神経周囲へ薬剤を注射

痛みの軽減・炎症の抑制

手術

神経の圧迫を取り除く

保存療法で改善しない場合など

保存療法の目的

腰椎椎間板ヘルニアでは、飛び出した椎間板が自然に吸収されることがあります。

しかし、腰部脊柱管狭窄症では事情が異なります。

狭窄の原因となるのは、

  • 椎間関節の変形
  • 黄色靱帯の肥厚
  • 加齢による変化

などによる物理的な狭窄です。

現在の医学では、薬によって狭くなった脊柱管を広げたり、自然に元の広さへ戻したりすることはできません。

そのため保存療法の目的は、

狭窄を治すことではなく、痛みやしびれを和らげ、日常生活を送りやすくすることです。

神経ブロック治療の役割

痛みやしびれが強く、歩行や仕事に支障がある場合には、神経ブロック治療を行うことがあります。

ごうだ整形外科では、症状やMRI所見を総合的に判断し、

  • L4神経根
  • L5神経根

など、症状の原因と考えられる神経に対してブロックを行います。

狭窄は1か所とは限りません

腰部脊柱管狭窄症では、神経の圧迫が1つの部位だけとは限りません。

例えば、

  • L4神経根
  • L5神経根
  • 左右両側

など、複数の部位で神経が圧迫されていることがあります。

そのため、ごうだ整形外科では症状と画像を照らし合わせながら、どの神経を優先して治療するかを慎重に判断しています。

なお、安全面から一度に行える神経ブロックの本数には限りがあります。

そのため、必要に応じて複数回に分けて治療を行うこともあります。

MRIだけでは症状の強さは分かりません

腰部脊柱管狭窄症では、

MRIで狭窄が強い=症状も強い

とは限りません。

これは、この病気がゆっくり進行するためです。

神経は急激な圧迫には強く反応しますが、時間をかけて徐々に圧迫されると、ある程度その状態に適応することがあります。

そのため、

  • MRIでは高度な狭窄がある
  • しかし症状は比較的軽い

という患者さんも実際に少なくありません。

逆に、画像上は中等度の狭窄でも、歩行が困難になるほど痛みが強い患者さんもいます。

だからこそ、ごうだ整形外科ではMRI画像だけで治療方針を決めることはありません。

患者さんが実際にどれだけ困っているか、日常生活への影響がどの程度あるかを重視して治療方法を選択しています。

手術を検討するケース

保存療法で改善が期待できる患者さんが多い一方で、手術が望ましいケースもあります。

表4 手術を検討する主なケース

状況

考え方

保存療法でも改善しない

内服・リハビリ・神経ブロックでも症状が続く

強い痛みが続く

日常生活や仕事に大きな支障がある

ドロップフット

つま先が上がらないなどの運動麻痺

膝崩れ

神経障害による筋力低下が疑われる

患者さんが手術を希望する

保存療法の限界を感じた場合も含めて総合的に判断

手術を勧める理由は、MRI画像だけではありません。

症状の程度、麻痺の有無、日常生活への影響、患者さん自身の希望を含めて総合的に判断します。

手術はゴールではなく治療の選択肢の一つです

保存療法を十分に行っても、思うような改善が得られない患者さんもいます。

そのような場合には、無理に我慢を続けるのではなく、手術という選択肢を検討することも大切です。

ごうだ整形外科では、「できるだけ手術を避ける」のではなく、患者さん一人ひとりにとって最も生活の質(QOL)が向上する方法を一緒に考えながら治療方針を決定しています。

(第3部へ続く)