腰痛と一緒に現れる症状|しびれ・発熱・排尿障害は要注意【前編】 しびれ・筋力低下・排尿障害から考える腰痛のサイン
腰痛と一緒に現れる症状|しびれ・発熱・排尿障害は要注意【前編】
しびれ・筋力低下・排尿障害から考える腰痛のサイン
監修
合田 猛俊
佐々木 拓郎
清藤 直樹
腰痛では「痛み以外の症状」も重要です
腰が痛いとき、多くの方は「どのくらい痛いか」に注目します。しかし、腰痛を診断するときには、痛みの強さだけでなく、腰痛と一緒にどのような症状が現れているかが重要です。
特に、脚のしびれ、足に力が入りにくい、つまずく、排尿や排便の異常、発熱などは、腰痛の原因を考える大切な手掛かりになります。
ごうだ整形外科では、腰痛だけを見るのではなく、しびれの場所や出方、筋力、感覚、歩行状態などを確認しながら、どの神経が影響を受けている可能性があるのかを考えていきます。この記事の前編では、しびれ、筋力低下、排尿・排便障害、発熱について解説します。
腰痛と脚のしびれが一緒にあるとき
「腰が痛くて、脚もしびれる」という症状は整形外科でよくみられます。しかし、「しびれがある」という情報だけでは原因を判断できません。診察では、どこがしびれているのかを詳しく確認することが重要です。
腰から出た神経は、それぞれ担当する領域があります。太もも、すね、ふくらはぎ、足の甲、足先など、しびれが現れている場所を確認することで、どの神経が影響を受けている可能性があるのかを推測する手掛かりになります。
ごうだ整形外科では、単純に「片脚か両脚か」だけで判断するのではなく、しびれが神経の支配領域に沿っているかどうかを重視します。
「痛み+しびれ」と「しびれだけ」の場合がある
腰の神経が刺激されたときには、しびれだけが現れるとは限りません。実際の診療では、痛みとしびれが一緒に現れている患者さんが多くみられます。一方で、痛みはそれほどなく、しびれを主な症状として受診する方もいます。
痛みが非常に強いと、その痛みに隠れて患者さん自身がしびれをあまり意識していないことがあります。その後、治療によって痛みが軽くなると、「今度はしびれが強くなった」と感じる場合があります。
神経ブロック後に「しびれが強くなった」と感じることもあります
神経ブロックによって強い痛みが軽減すると、それまで痛みに隠れていたしびれを感じやすくなることがあります。必ずしも治療によって新しいしびれが発生したとは限りません。
もともと痛みとしびれが共存していて、そのうち強かった痛みが軽減したため、相対的にしびれを強く感じるようになったと考えられる場合があります。症状が治療前後で変化した場合には、その変化も診断や治療効果を判断する重要な情報になります。
「どこがしびれるか」だけでなく「いつしびれるか」も重要です
しびれを診察するときには、場所だけではなく、どのような状況でしびれが出るのかも確認します。特に重要なのが、常にしびれているのか、それとも歩いていると徐々にしびれてくるのかという違いです。
しびれの出方 | 診察で確認するポイント |
常にしびれている | 神経への圧迫が持続していないか |
歩くとしびれが強くなる | 歩行や腰の姿勢との関係 |
座ったり休んだりすると改善する | 間欠性跛行などの有無 |
痛みとしびれが一緒にある | 神経根への刺激や圧迫など |
しびれだけが続いている | 分布、筋力、感覚などを含めて評価 |
しびれだけなら様子を見ても大丈夫?
これは一概には言えません。日常生活に支障がなく、一時的な症状であれば経過を見ることもあります。しかし、しびれは体から出ている一つのサインです。
ごうだ整形外科では、痛みやしびれを「体のどこかに異常があることを知らせる信号」として考えます。大切なのは、しびれそのものだけを見るのではなく、なぜしびれているのかを考えることです。しびれが続く、いつもと違う、なかなか治らない、少しずつ悪くなっていると感じる場合には、一度原因を確認することをおすすめします。
筋力低下は患者さん自身が気づいていないことがあります
腰から出る神経が障害されると、しびれや痛みだけでなく筋力が低下することがあります。ところが、患者さん自身が筋力低下に気づいていないことも少なくありません。
ごうだ整形外科では、必要に応じて徒手筋力検査を行います。医師が患者さんの脚や足に抵抗を加え、それに対してどの程度力を出せるかを確認します。診察して初めて筋力低下が分かり、患者さん自身が驚くこともあります。
足首が上がりにくい、足先が引っかかる、つまずきやすい、地面を踏ん張りにくい、膝が抜ける、階段を上がりにくいなどの変化が筋力低下のサインになることがあります。
しびれがあるときは「筋力」も確認することが大切です
しびれの診察では、しびれ・痛みの分布だけでなく、感覚、筋力、膝蓋腱反射、アキレス腱反射、歩行状態などを組み合わせて評価します。診察所見から障害されている可能性のある神経を推定し、必要に応じてMRIなどの検査につなげます。
腰痛と排尿・排便の異常が一緒にある場合は要注意
腰痛に伴う症状の中でも、特に注意が必要なのが排尿や排便の異常です。脊柱管内の神経が強く圧迫されると、膀胱や直腸の機能に関係する神経にも影響が及ぶことがあります。これを膀胱直腸障害といいます。
尿が出にくい、尿が残っている感じがする、尿意が分かりにくい、尿が漏れる、排便の状態がおかしい、股の間や肛門周囲の感覚がおかしいなどの症状が、腰痛や脚の痛み・しびれに新しく加わった場合には注意が必要です。
膀胱直腸障害は緊急性を考える症状です
脊椎疾患によって膀胱直腸障害が生じている場合には、神経が高度に圧迫されている可能性があります。特に急に排尿・排便機能の異常が出現した場合には、緊急の評価や治療が必要になることがあります。腰痛や脚の神経症状に加えて、新しい排尿・排便障害が現れた場合には、速やかに医療機関を受診してください。
高齢者では排尿障害の判断が難しいことがあります
高齢の方では、前立腺の病気、膀胱機能の変化、以前からの尿漏れや排尿しにくさなどをもともと持っていることがあります。そのため、以前からある症状なのか、腰痛や脚の症状とともに新しく出てきたのかを確認することが大切です。
ごうだ整形外科では、神経症状やMRI所見などを総合し、高度な神経圧迫が疑われる場合には排尿状態についても詳しく確認します。必要に応じて仙骨領域の感覚なども含めて神経学的に評価します。
腰痛と発熱が一緒にある場合
腰痛に発熱を伴っている場合も注意が必要です。原因の一つに、化膿性脊椎炎や椎間板炎など、脊椎や椎間板の感染症があります。強い感染が起きている場合には非常に激しい腰痛となり、寝返りや起き上がりなど体を動かすことが困難になることがあります。
しかし、「高熱がないから感染症ではない」とは限りません。感染があっても高い熱が出ず、症状が典型的ではない場合があります。疑わしい場合には症状の経過、身体診察、血液検査、MRIなどの画像検査を組み合わせて原因を調べます。
痛い場所を実際に触って確認することも重要です
画像検査だけが診断ではありません。ごうだ整形外科では、実際に痛む場所を触り、どこを押すと痛いのか、周囲と比べて局所的な熱感がないかなどを確認します。問診、触診、神経学的診察、血液検査、画像検査など、それぞれの情報を組み合わせて判断します。
発熱と腰痛があっても、腰そのものが原因とは限りません
腰痛と発熱があるときに考えるのは脊椎の感染症だけではありません。たとえば腎盂腎炎でも腰や背中に痛みを感じることがあります。発熱、排尿時の痛み、残尿感、尿路症状、腰背部痛などが手掛かりになります。
また、全身の感染症などによる筋肉痛の一部として腰が痛くなることもあります。「腰が痛い=腰の骨や神経の病気」とは限らず、腰以外の病気も含めて考えることが重要です。
前編まとめ|腰痛だけでなく「一緒に起きている症状」を見てください
腰痛の原因を考えるとき、痛みの強さだけを見ていると重要なサインを見逃す可能性があります。特に、しびれ、筋力低下、排尿・排便の異常、発熱は重要な症状です。
しびれでは場所と出方、筋力低下では患者さん自身が気づいていない変化、排尿・排便障害では高度な神経圧迫の可能性、発熱では脊椎感染症や腰以外の病気まで考える必要があります。
症状は、体が異常を知らせるサインです。「腰痛だからしばらく様子を見ればいい」と決めつけず、腰痛と一緒にいつもと違う症状が現れたときには、その症状も医師に伝えてください。


