K-004 この膝痛は受診すべき?|様子を見てもよい痛み・早めに受診したい痛み

【後編】様子を見てもよい膝痛・受診するタイミング|何日ではなく症状で判断

監修

合田 猛俊

佐々木 拓郎

清藤 直樹

前編では、早急な受診を考える膝痛について解説しました。

では反対に、「少し膝が痛いけれど普通に歩ける」という場合にも、すぐに仕事を休んで受診する必要があるのでしょうか。

必ずしもそうではありません。膝痛の中には、数日負荷を減らすことで改善するものもあります。

重要なのは、「何日たったか」だけではなく、症状が改善しているか、悪化しているか、生活にどれくらい支障があるかです。

11.普通に歩けるなら、少し様子を見られる場合があります

例えば、普通に歩ける、日常生活ができる、明らかな外傷がない、強い腫れがない、熱感や発赤がない、休むと少し楽になる、日ごとに改善しているという場合です。

このような状態であれば、必ずしもその日のうちに仕事を休んで受診する必要はありません。

数日間、膝への負担を減らしながら経過を見るという選択肢があります。

12.様子を見る間に「自分の症状を観察する」

様子を見るというのは、何も考えず放置することではありません。

その期間に、患者さん自身に自分の膝を観察してほしいと思います。

どこが痛いのか、どんな動作で痛むのか、歩き始めなのか長く歩いた後なのか、階段の上りか下りか、ひねると痛いのか、腫れてきていないか、休むと改善するのか、といったことです。

単に「膝が痛い」だけではなく、「内側が、階段を下りるときに痛い」というところまで分かると、受診した際にも診断の重要な手がかりになります。

13.痛みを出す動作は一度休む

もし「ひねると痛い」ことが分かっているのであれば、まずその動作を避けます。

ランニングで痛むなら、しばらく走る量を減らす。深くしゃがむと痛いなら、その姿勢を避ける。スポーツで痛みが増すなら、一度負荷を落とす。

痛みを確認するために、何度も同じ動作を繰り返す必要はありません。

痛みを出している動作から一時的に離れることは、基本的な対処の一つです。

14.腫れている急性期は過度に温めない

明らかに膝が腫れ、熱を持っている急性期には、冷却によって痛みや腫れが軽減することがあります。

一方、強く腫れている状態で長時間熱い風呂に入り、過度に温めると、症状が増す方もいます。

ただし、「膝痛はすべて冷やす」わけではありません。慢性的な膝痛では、温めることで楽になる患者さんもいます。

腫れ・熱感の有無を見ながら使い分けます。

15.「何日様子を見たら病院へ行く?」に一律の答えはありません

患者さんから、「3日ですか?」「1週間ですか?」と聞かれることがあります。

しかし、「○日続いたら必ず受診」という一律の線引きは難しいと考えています。

何年も前から時々痛む人もいれば、1週間前から急速に悪化している人もいます。

受診判断で重要なのは、時間だけではなく、症状の変化と生活への影響です。

16.休んでも良くならないなら受診を

負担を減らして数日経過を見ても、改善しない、徐々に悪化する、歩きづらくなってきた、腫れてきた、痛む範囲が広がってきたという場合には、整形外科で原因を確認した方がよいでしょう。

「まだ歩けるから大丈夫」と長期間我慢する必要はありません。

17.同じ膝痛を何度も繰り返す場合

強い痛みではなくても、同じ症状を何度も繰り返す場合には一度原因を調べる価値があります。

その目的は、単に痛み止めをもらうことではありません。

なぜ痛みが出るのか。何をすると悪化するのか。どう身体を使えば再発を減らせるのか。これを理解することが重要です。

18.「痛み止めだけ」ではなく「なぜ痛いか」を知る

ごうだ整形外科では、「痛いから薬を出して終わり」ではなく、できるだけ「どうして痛いのか」を患者さんに理解してもらうことを大切にしています。

例えば、変形性膝関節症なら、どの部分へ荷重が偏っているのか。半月板なら、どの動作で負荷がかかっているのか。膝蓋大腿関節なら、どの姿勢で圧力が増えるのか。

原因を理解することで、患者さん自身が痛みを避ける知識を身につけることができます。

19.受診の目安は「生活にどれだけ困っているか」

痛みが何点か、何日続いているかだけで受診の必要性は決まりません。

通勤できない、階段が使えない、買い物へ行けない、仕事に支障がある、スポーツができない、夜眠れないなど、自分がしたい生活を膝痛のためにできなくなっているのであれば、受診を考える十分な理由になります。

慢性の変形性関節症でも、痛み・機能低下・変形などが生活の質へ大きく影響しているかどうかを重視して治療方針を決めます。

20.ごうだ整形外科では「できるだけ早く原因を知る」ことを目指します

ごうだ整形外科では、受診した患者さんについて、できるだけその日に原因を評価し、その日のうちに治療開始につなげることを目指しています。

診察とレントゲンで十分判断できる場合もあります。

一方、半月板損傷、靱帯損傷、軟骨下骨の損傷、レントゲンでは説明できない強い痛みなどが疑われる場合にはMRIを検討します。

検査枠や診療時間などによって当日MRIが難しい場合もありますが、必要性が高いと判断した場合には、可能な範囲で早期の検査につなげます。

K-004まとめ|受診の目安は「何日」ではなく「今の状態」

膝痛で一番大切なのは、「何日痛いか」だけで受診を決めないことです。

早急な受診を考えるのは、歩けない、大きな外傷がある、急激に腫れた、赤く熱を持っている、発熱している、曲げ伸ばしがほとんどできない、強い夜間痛がある、症状が悪化している場合です。

一方、普通に歩けて、休むと改善し、日常生活もできているのであれば、症状を観察しながら少し経過を見ることができる場合もあります。

ただし、改善しない、繰り返す、生活に支障が出ているのであれば、原因を確認するために整形外科を受診してください。

受診の目的は痛み止めをもらうことだけではありません。「なぜ痛いのか」を知り、「どうすればまた痛くならないか」を知ることも治療の一部です。

膝痛の受診についてよくある質問

Q1.膝が痛いだけなら何日か様子を見ても大丈夫ですか?

普通に歩けて、強い腫れや発熱がなく、休むことで改善している場合は少し経過を見られることがあります。ただし、一律に何日まで大丈夫とは言えません。

Q2.歩けないほど痛い場合は?

早めの受診を勧めます。外傷後なら骨折、脱臼、靱帯損傷などを確認する必要があります。

Q3.夜に膝が痛い場合はすぐ受診ですか?

慢性的な変形性膝関節症でも夜間痛は起こりますが、急に始まった強い夜間痛や、眠れないほどの痛み、腫れ・発熱を伴う場合は早めに評価した方がよいでしょう。

Q4.赤く熱を持っています。様子を見てもいいですか?

感染性関節炎や結晶性関節炎などの可能性があります。特に発熱や強い腫れを伴う場合には早めに受診してください。

Q5.スポーツ中に怪我をして夜になりました。どうしたらいいですか?

足をつけない、急速に腫れる、変形しているなどの場合は救急医療機関で応急処置を受け、その後できるだけ早く整形外科で詳しい評価を受けることを勧めます。

Q6.レントゲンだけで膝痛の原因は分かりますか?

骨折や変形の評価には有用ですが、半月板や靱帯などはレントゲンでは十分分からないため、必要に応じてMRIを検討します。

Q7.少しの痛みでも何度も繰り返す場合は受診した方がいいですか?

はい。一度原因を確認し、どの動作を避けるべきか、どう再発を防ぐかを理解することには意味があります。

Q8.受診の一番分かりやすい目安は何ですか?

「歩けるか」「急に悪化したか」「生活にどの程度支障が出ているか」を一つの目安にしてください。

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医学的確認について

本記事は、合田医師の一般整形外科診療における臨床経験と受診判断を一次情報として構成しています。膝専門医としての専門的見解を示すものではありません。医学的確認では、急性外傷後の歩行不能・著明な腫脹・不安定性は早期評価を要すること、急性膝外傷で4歩の荷重歩行不能や90度屈曲不能が画像検査判断の参考になること、発熱・発赤・腫脹・可動域制限を伴う膝では感染性関節炎を考えること、慢性膝痛では生活機能への影響を重視することを標準的な医学資料と照合しています。

監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長/整形外科専門医/医学博士

佐々木 拓郎

北7条ごうだ整形外科 院長/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長/整形外科専門医/医学博士/日本人工関節学会認定医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

記事情報

記事番号:K-004

記事名:この膝痛は受診すべき?|様子を見てもよい痛み・早めに受診したい痛み

掲載区分:後編/様子を見てもよい膝痛・受診タイミング

シリーズ:ごうだ整形外科の膝痛ナビゲーション

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

公開日:未定

更新日:未定