まだ身長は伸びる? レントゲンでわかることと、筋トレへの不安

子どもの成長を、骨の状態・成長曲線・生活習慣から考える

監修:合田 猛俊/佐々木 拓郎/清藤 直樹

「サッカーを続けているけれど、まだ背は伸びますか」「筋トレをすると、身長が止まってしまいませんか」。当院では、スポーツをしているお子さんや保護者の方から、このような相談を受けます。

身長の伸びを考えるとき、レントゲンは役立つ検査です。ただし、写真だけで「あと何cm伸びる」と約束することはできません。これまでの身長の変化や思春期の進み方も合わせて、成長の余地を考えます。

今回は、膝や骨盤の写真でわかること、親の身長から考える目安、筋力トレーニングとの関係を整理します。

1.最初に確かめたいのは、これまでの身長の伸び方です

同じ年齢、同じ身長でも、これからよく伸びる時期を迎えるお子さんと、伸びの大きな時期を過ぎたお子さんでは、見通しが違います。クラスやチームの友達との比較だけでは判断できません。

学校健診や母子健康手帳の記録を成長曲線に書き込むと、お子さん自身の伸び方が見えてきます。現在の身長に加え、「いつから伸びがゆっくりになったか」「体重はどう変わったか」も大切です。

思春期が始まる時期には個人差があります。早く大きくなったから最終的にも必ず高身長になる、今小さいからもう伸びない、ということではありません。過去の記録と体の発達を合わせて見ていきます。

身長の測定記録をつなぎ、時間とともにどう伸びているかを確認します。図は架空の測定例を用いた説明用の模式図で、診断用ではありません。

参考:日本小児内分泌学会「低身長」

https://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html

2.膝のレントゲンでは、脚が伸びる余地を確認します

子どもの骨には、長さが伸びるもとになる「成長軟骨(成長板)」があります。レントゲンでは、その部分が骨端線として確認できます。膝の周りにも、大腿骨と脛骨の成長板があります。

当院では、膝の写真で成長板が残っている場合、脚がまだ伸びる余地があることを説明します。成長板の状態は、成長の段階を考える大切な材料です。

ただし、成長板が開いて見えることと、今後大きく身長が伸びることは同じではありません。伸びる量や残された期間には個人差があります。また、身長には脚だけでなく、体幹の成長も関係します。

「膝の周りに成長軟骨が残っているので、脚が伸びる余地はあります。ただし、あと何cm伸びるかは、この写真だけではわかりません」というのが、誤解の少ない説明です。

参考:米国整形外科学会「Growth Plate Fractures」

https://www.orthoinfo.org/diseases–conditions/growth-plate-fractures/

3.骨盤の写真と手の骨年齢は、何を見ているのでしょうか

骨盤の写真で見る成長の目安

当院では、骨盤の骨の成熟度を、主に特発性側弯症の診療で参考にしています。「リッサー徴候」は、骨盤の上縁にある腸骨稜の骨化や癒合の進み方を見る指標です。

成長が残っている時期は、側弯の進行に注意が必要です。ただし、治療の必要性は骨の成熟度だけでなく、背骨の曲がりの大きさや、その変化なども合わせて判断します。「成長が残っていれば必ず進行する」という意味ではありません。

骨盤の所見も、最終身長や残りの伸びを正確なcmで示すものではありません。

参考:Scoliosis Research Society「Adolescent Idiopathic Scoliosis」

https://www.srs.org/Patients/Conditions/Scoliosis/Idiopathic-Scoliosis

手の写真で見る「骨年齢」

成長について詳しく調べる際には、一般に左手と手首のレントゲンで、骨の形や成熟の程度から「骨年齢」を評価する方法があります。実際の年齢とは別に、骨の成長がどの段階にあるかを見る目安です。

標準的な画像と見比べる方法や、骨ごとに成熟の程度を評価する方法があります。ただし、骨年齢がわかれば最終身長が確定するわけではありません。予測には方法ごとの条件や誤差があり、思春期の進み方などによって見通しが変わります。

全員に膝・骨盤・手の写真が必要なわけではありません。どの検査が必要かは、成長の記録や診察で判断します。

手・手首のレントゲンでは、複数の骨の形や成熟の程度を合わせて評価します。図は成長板の変化を単純化した模式図で、実際のレントゲンや骨年齢の判定表ではありません。

参考:Satoh M.「Bone age: assessment methods and clinical applications」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpe/24/4/24_2015-0011/_article

4.親の身長からわかるのは、遺伝的な背景の目安です

身長には遺伝的な要素も関わります。日本人について2007年に見直された目安の計算式では、身長をcmで表し、次のように計算します。

男の子:(父の身長+母の身長+13)÷2

女の子:(父の身長+母の身長-13)÷2

この値を中心とする目安の範囲は、男の子で±9cm、女の子で±8cmとされています。

例えば、父175cm、母160cmの男の子では、中心の値は174cmです。ただし、この計算だけで174cmになると予測したり、そこまで必ず伸びると説明したりはできません。幅の数字も、一人ひとりの予測誤差を保証するものではありません。

親の身長から考える目安と、お子さん自身の成長曲線や骨の成熟度を合わせて考えることが大切です。

参考:Ogata T, et al.「Target Height and Target Range for Japanese Children: Revisited」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpe/16/4/16_4_85/_article

5.筋トレで筋肉が強くなると、身長が止まるのでしょうか

サッカーをしているお子さんの保護者からは、「強いボールを蹴るために脚を鍛えたいけれど、成長の妨げにならないか」という心配を聞きます。

現在の知見では、発達段階に合わせ、適切に設計・指導された筋力トレーニングが、身長の伸びや成長板に悪影響を与えることは示されていません。米国小児科学会も、そのように整理しています。

「太ももの筋肉が強くなると、骨が伸びる力に勝って身長を止める」と説明できる根拠はありません。筋力の強さだけで、成長が妨げられるかどうかを判断することはできません。

一方で、どのような運動でも安全という意味ではありません。大きすぎる負荷、不適切な動き、痛みを我慢した反復などは、けがにつながります。成長板などを傷める問題と、適切な筋トレによって筋力がつくことは分けて考える必要があります。

サッカーをしている人の体格だけを見て、競技や筋トレが身長を低くしたと結論づけることもできません。

参考:米国小児科学会「Resistance Training for Children and Adolescents」(2020年、2024年再確認)

https://doi.org/10.1542/peds.2020-1011

6.運動の量だけでなく、食事と休養も見直しましょう

成長期の運動では、扱う重さを競うより、正しい動きを身につけることが先です。指導者のもとで、年齢だけでなく体の発達や経験に合った負荷を選びましょう。

筋トレ、部活動、クラブの練習、自主練習を全部合わせると、休む時間がほとんどなくなることがあります。練習後の疲れが抜けない、痛みが続く、食事が十分に取れないときは、練習計画を見直すきっかけです。

運動するためのエネルギーに加えて、回復と成長を支える食事が必要です。たんぱく質だけに偏らず、食事全体の量とバランスを整え、睡眠と休養の時間を確保しましょう。

なお、栄養が不足している場合の補充と、健康なお子さんの身長をサプリメントでさらに伸ばすことは別です。日本小児内分泌学会は、栄養不足のないお子さんにサプリメントを与えて成長を促す科学的根拠はないとしています。

参考:米国小児科学会「Resistance Training for Children and Adolescents」/日本小児内分泌学会「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解

https://doi.org/10.1542/peds.2020-1011

https://jspe.umin.jp/iframe/kenkai.html

7.こんなときは、成長の記録を持って相談してください

身長の伸びが気になるときは、学校健診などの記録を持って相談してください。特に、以前より伸び方が明らかに鈍くなった、成長曲線で下の方へ離れてきた、思春期の始まりが極端に早い・遅いと感じる場合は、確認することが大切です。

身長が平均より低いことだけで病気とは限りません。一方で、平均の範囲内でも伸び方に変化があれば、調べた方がよい場合があります。成長の問題が疑われるときには、小児科・小児内分泌科での評価が必要になることもあります。

膝などの痛みが続く場合は、身長の問題とは別にスポーツによる障害も確認します。「成長期だから仕方がない」と我慢し続けず、早めに相談しましょう。

参考:Pediatric Endocrine Society「Child with Suspected Short Stature」

Child with Suspected Short Stature

まとめ

膝や骨盤のレントゲンは、成長の余地を考える材料になります。ただし、今後の伸びや最終身長は、写真一枚で断言できません。成長曲線、思春期の進み方、親の身長、必要に応じた骨年齢の評価を組み合わせて考えます。

また、適切に指導された筋トレで身長が止まることは示されていません。成長期だからこそ、痛みのない適切な負荷と、食事・睡眠・休養を大切にしましょう。

よくある質問

Q.膝の骨端線が開いていれば、あと5cmは伸びますか?

A.成長の余地を考える材料にはなりますが、5cmなどの量は保証できません。これまでの伸び方や骨の成熟度などを合わせて評価します。

Q.手の骨年齢が実際の年齢より若ければ、必ず追いつきますか?

A.骨の成熟がゆっくり進んでいる可能性を示しますが、将来の伸びを保証するものではありません。成長がゆっくりな理由も含めて考えます。

Q.成長板が閉じるまで、筋トレはやめた方がよいですか?

A.一律に禁止する根拠はありません。体の発達に合った内容を、適切な指導のもとで行うことが大切です。痛みが出る場合は負荷を見直し、続く場合は受診してください。

Q.最終身長を調べるために、全員レントゲンを撮るのでしょうか?

A.全員に必要とは限りません。まず成長の記録や体の発達を確認し、検査の必要性を判断します。

監修者プロフィール

合田 猛俊

医療法人社団GOZEN 理事長

整形外科専門医/医学博士

佐々木 拓郎

北7条ごうだ整形外科 院長

整形外科専門医/医学博士/産業医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

清藤 直樹

岩見沢ごうだ整形外科 院長

整形外科専門医/医学博士/日本人工関節学会認定医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

記事情報

対象:成長期のお子さんと保護者の方

原稿作成日:2026年10月18日

本記事は一般的な情報提供を目的としています。成長の見通しや必要な検査は、一人ひとりの状況によって異なります。